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「本賞は第 27 回日本社会精神医学会において発表された一般演題の中から 40 歳以下の発表者による優れた発表を行った会員個人に対して贈られるものです。学会の理事による投票の結果、下記の 3 人の方が本賞を授与されました。
受賞者の 3 名の先生方の許可を得た上で、日本社会精神医学会 HP に発表要旨を掲載し、ご発表の内容を紹介させていただきます。また受賞された方々の今後の活躍に期待いたしますとともに、若手の方々の研究発表が一層盛んになることをお祈り申し上げます。
第27回日本社会精神医学会会長 西村良二 福岡大学医学部精神医学教室
【受賞者と発表演題名】(順不同)
(1) 嶋根卓也 国立精神・神経センター 精神保健研究所 薬物依存研究部
「定時制高校生における薬物乱用と問題行動との関連」
(2)加野章子 愛知工科大学・愛知工科大学
「中学生年代の「いじめ」と「抑うつ」との関連について」
(3)長谷川千絵 東邦大学医学部精神神経医学講座
「初発うつ病エピソードの未治療期間と受診を遅らせる因子の検討」
【発表要旨】
○ 嶋根 卓也、 和田 清
国立精神・神経センター 精神保健研究所 薬物依存研究部
「定時制高校生における薬物乱用と問題行動との関連」
昨年度に引き続き、定時制高校生の薬物乱用の実態把握に関する報告を行った。本年度は、いじめ・不登校・自傷行為・摂食障害などの問題行動と薬物乱用との結びつきについて分析した。対象はA県公立高校3校の定時制高校生(29歳以下)215名である。対象者は、経験群15名、対照群200名に分類され、問題行動との関連性を確認した。
経験群において有意に高率であった問題行動は、いじめ(加害)経験(Adj.O.R.=14.1、以下同様)、無断外泊(泊めた)経験(13.6)、暴力行為(6.9)、拒食傾向(4.9)、万引き(4.3)、過食傾向(3.7) 、停学・退学(3.5)であった。なお、補導経験、無断外泊(泊まった)経験は、経験群全員が経験していた(オッズ比は計算できず)。一方、自傷行為や不登校経験は、両群に有意差はなかった。教育現場では、問題行動との結びつきも考慮に入れながら薬物乱用防止活動を行う必要がある。
○加野章子1)猪子香代2)、西園マーハ文2)、小見祐子2)、 小平かやの3)、大澤真木子3)
1)愛知工科大学 2)東京都精神医学総合研究所 3) 東京女子医大小児科
「中学生年代の「いじめ」と「抑うつ」との関連について」
「いじめ」において、子どもは<いじめる子ども><いじめられる子ども>それを<目撃する子ども>といった経験をする。子どもたちの経験する立場に着目して「心理的いじめ」と「抑うつ」との関連について質問紙調査を行った。
「心理的いじめ」は多くの目撃経験があった。これは、心理的いじめが隠されているものではなく集団の中で起きていることを示す。加害経験を回答する子どもは被害経験や目撃経験を持っていて「いじめられたくない」ために「いじめ」に加担する子供たちもいることが考えられた。今後も彼らの集団力動について、より考察を深められるよう研究を続けていく。
○長谷川千絵1)、茅野分4)、小堀俊一2)、城川美佳3)、井原一成3)、長谷川友紀3)、水野雅文1)
1)東邦大学精神神経医学講座、2)大森西メンタルクリニック、3)東邦大学社会医学講座、
4)銀座泰明クリニック
「初発うつ病エピソードの未治療期間と受診を遅らせる因子の検討」
初発うつ病エピソード(以下F32(ICD-10))での未治療期間(duration of untreated illness)(月)(以下DUI)に関する調査を実施しDUI延長の関連因子について検討した。対象者数は86例でDUIの平均値±SDは7.6±15ヶ月(中央値3.0ヶ月)であった。DUIが1年未満の群(69人)(以下S)と1年以上の群(17人)(以下L)にわけ各属性との関連を検討した。年齢、重症度、受診経路、最初に出現した症状、受診動機では有意差はみられなかった。同居者の有無別では同居者なしが同居者ありに対して有意ではないがDUIが短い傾向が認められた。同居者がいる者は同居者が症状に気づき早く受診すると思われたがうつ症状による生活機能への障害が同居者のいる者はいない者より少ないため受診しない可能性が考えられた。DUI延長に関連する要因について生活機能へ障害の観点から検討する必要がある。
※受賞者・共同演者の所属先は平成20年2月29日現在のものです。
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