日本社会精神医学会

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第26回日本社会精神医学会 優秀発表賞

本賞は日本社会精神医学会において発表された演題のうち、40歳以下の発表者による優れた発表を行った会員個人に対して贈られるものです。プログラム委員( 3名)、理事、座長、会長の4者による投票の結果、下記の3人の方に授与されました。
受賞者の許可を得て、日本社会精神医学会雑誌に発表要旨を転載し、ご発表内容の紹介とさせていただきます。受賞された方々の今後の活躍に期待いたしますとともに、若手の研究発表がますます盛んになることを期待いたします。

第26回日本社会精神医学会会長 宮岡 等

【受賞者と発表演題名】(順不同)

(1)藤原恵真 岩手医科大学神経精神科学講座
「地域の自殺対策事業における回想法の有用性について」(ポスター)

(2)西田淳志 三重大学大学院医学系研究科神経感覚医科学
講座精神病態学分野/安東病院)

主題:「思春期精神病様症状体験(PLEs)の頻度に関する調査」
副題:「三重県津市における思春期精神病理疫学研究(ESPAT)」(ポスター)

(3)渡部洋実 東京都立梅ヶ丘病院
「児童思春期精神科における女性外来の役割」(パネルディスカッション)

【発表要旨】

○ 藤原恵真1)、大塚耕太郎1)、酒井明夫1)、星克仁2)、関合征子1),3)、神先真1),4)、清水英子5)、日影由美子6)、小笠原敏子7)、米内久子7)、岩戸清香1)、智田文徳1)
1)岩手医科大学神経精神科学講座 2)岩手県立久慈病院 3)久慈地域傾聴ボランティア「こころ」 4)財団法人精神・神経科学振興財団 5)久慈市保健福祉部山形福祉室 6)久慈市役所侍浜支所 7)久慈市保健福祉部保健推進課

「地域の自殺対策事業における回想法の有用性について」

目的: 2004 年 久慈地域での一般住民に対する意識調査において、中等度うつ状態にある自殺のハイリスク者は周囲に相談先がなく、飲酒など誤った対処行動をとっていた。こうした状況を改善し自殺予防につなげていくために、回想法を用いて住民の間に「語り」を根付かせ、その有用性を明らかにすることを目的とした。

方法: 保健師・保健推進員などに対して、回想法の研修を行った。自殺対策事業における健康教育のグループワークに回想法を導入した。同意を得たそれぞれの参加者にアンケート調査を行った。

結果: 研修参加者のうち「回想法をグループワークとして行うべき」と回答した割合は、研修前後で 47.8% から 74.6 %に上昇した。グループワーク参加者において「これからも語りのグループワークをしたいと思う」と回答した割合は 97.0 %であった。また、回想法グループワーク終了後には相談体制も構築され、ハイリスク者への支援にもつながった。

○西田淳志1) 2)、西村幸香1)、梶木直美1)、井上顕1)、高見鉄平3)、北條玲奈3)、柿本優3)、谷井久志1)、岡崎祐士4)
1) 三重大学大学院医学系研究科精神病態学分野 2) 安東医院
3) 三重大学医学部医学科 4) 東京都立松沢病院

主題:「思春期精神病様症状体験(PLEs)の頻度に関する調査」
副題:「三重県津市における思春期精神病理疫学研究(ESPAT)」

近年、思春期一般人口標本の約10〜20%前後にPLEs(精神病様症状体験:psychotic-like experiences)が認められ、それが後の精神病性疾患の発症や社会的不適応を強く予測することが報告されている。我々は、2007年7月に三重県津市にて思春期一般人口標本を対象とした疫学調査を実施し、その一部として思春期PLEsの頻度に関する調査を行った。公立中学校14校の協力を得て、自記式質問紙(GHQ-12を含む54項目)調査への協力を依頼し、5073名(12〜15歳)の生徒から同意と回答を得た。その結果、対象標本全体の15.2%にPLEsが認められ、12歳群においてもすでに13.4%がPLEsを体験したと回答していた。また、男子群に比べ女子群において、追跡・盗聴妄想や幻聴体験などが有意に多く体験されるなど性差も認められた。本研究は三重大学医学部研究倫理委員会にて承認を受け実施している。

○渡部洋実1)、市川宏伸1)
1)東京都立梅ヶ丘病院

「児童思春期精神科における女性外来の役割」

東京都立梅ヶ丘病院は児童思春期を対象としており、訪れる患者の疾患は、発達障害圏、神経症圏、精神病圏、行為障害などさまざまである。専門外来として「幼児・発達障害」「学習障害・多動性障害」「摂食障害」「ひきこもり・不登校」などがある他に、平成15年より女性医師が担当する専用外来として「こころの女子思春期専用外来」を開いている。初診女性患者の約20%が「こころの女子思春期専用外来」を利用している。
今回の研究では2004年11月から2006年10月の2年間に「こころの女子思春期専用外来」を受診した症例の診療録を基に、初診年齢、疾患名、家族背景、虐待歴などを調査した。この外来を受診する患者の特色と、児童思春期精神科における女性外来の果たす役割などについて、考察を加え報告した。尚、本研究ではプライバシー保護の観点から匿名性の保持に十分な配慮を行いながら、調査・解析を行った。

※受賞者・共同演者の所属先は平成19年3月23日現在のものです。



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